Collaborative Platform in Research and Education
on Humanities and Social Sciences


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終了第5弾企画

グローバリゼーションの行方とローカリティーの再生
―ポスト・コロナ社会を語る―

2020.07.29

 8月24日に人社系協働研究・教育コモンズのシンポジウム第5弾企画「グローバリゼーションの行方とローカリティーの再生 ―ポスト・コロナ社会を語る―」を開催いたします。皆さまご参加いただきますよう、お願いいたします。


ivent poster
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 グローバリゼーションの時代は今後も持続するのか否か。持続するとすればどのような在り方が望ましいのか。新型コロナウイルスが文字どおりグローバルに拡大する中、今、私たちが唐突に向き合っている現実は、一時的であるにせよ、人やモノの移動が制限され、国や県などの境界がつよい制度として機能する社会への逆行現象として映じます。日本における自制自粛の呼びかけと実践が、公権力の行使と同等の効果を発揮している点も注目されるところです。一方、教育や経済活動の現場では、遠隔授業や在宅勤務が急速に一般化し、オンライン環境を活用した社会生活が認容され、今後、日常化していく可能性が問われています。情報化の分野ではグローバリゼーションがさらに浸透する契機となっています。

 九大人社系コモンズでは、1)超スマート社会、2)持続可能な開発目標(SDGs)と循環型経済、3)アジアに開かれた九州、4)人社系学問の形成史という四つの観点を研究活動の指針としています。現在進行中の現実は、私たちの協働研究の観点とも深く関係し、さまざまな分析と議論を喚起しています。ポスト・コロナ社会を見据えるとき、持続可能なグローバリゼーションの時代では、個々人が身を置く場や地域と結びついたローカリティーが保全され、重視される必要が生まれています。

 このシンポジウムでは、ポスト・コロナ社会におけるグローバリゼーションとローカリティーとの関係性を中心に、公権力と社会との関係、新しい社会生活の様態についても、広く参加者で議論します。是非とも、皆さまの積極的な参加をお待ちしています。

▶ 日時:2020年8月24日(月) 13:30~17:00

▶ パネリスト: アイコンをクリックで詳細が見られます)

今里悟之(九州大学人文科学研究院)

「世界遺産の登録過程におけるローカルとグローバル―長崎県平戸島での経験から」

2018年,ユネスコの世界文化遺産として,「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が日本で18番目に登録された。報告者は2010年から,この世界遺産登録に向けた準備作業の一環として,長崎県平戸島での学術調査に携わってきた。この登録までの道程には多少の紆余曲折があり,世界遺産登録をめぐるローカルとグローバルとの関係について,この学術調査の際に経験したことや感じたことを中心にお話ししたい。

Edward Vickers(九州大学人間環境学研究院)
 ※Vickers氏のみ英語による発表(質疑は日本語)

新型コロナウイルスがもたらす教育的公正の危機

 国際的な子ども支援団体セーブ・ザ・チルドレンは、2020年7月の時点で世界中の1億人を超える子ども達が学校に通っていないと推定した。新型コロナウイルスの影響により、一部の国の子ども達は既に半年以上も学校教育を受けられない状況にある。学校教育の機会を失った影響は、裕福な家庭の子どもよりも貧困家庭の子どもの方がはるかに深刻な打撃を受けており、極めて不均一な状態である。しかしながらこの問題は、現在の子ども達のみならず公的教育システム自体の持続可能性にとっても長期的に深刻な影響を与える可能性がある。多くの人々がテクノロジーを伴う教育環境を得るようになった結果、「ビッグテック」と呼ばれる巨大ハイテク企業の利益は大幅に押し上げられた。一方で、経済活動と税収の低下が原因で政府による、教育を含む基本的な公共サービスへの財政支出が困難になる。こうした危機に直面していく中で、教育への費用のあり方と同時に、教育が根本的に何のためにあるのかを我々自身が再考することになるだろう。

成原慧(九州大学法学研究院)

プラットフォーム、国家、都市そして個人

 新型コロナウィルスの流行により、人やモノの移動が制約される一方で、オンライン講義やテレワークなどにより、情報の流通は一層拡大し、重要な役割を果たしている。また、人流の把握や接触確認アプリなどで、プラットフォーム事業者が設計するアーキテクチャや収集するデータも一層重要な役割を果たすようになっている。本報告では、コロナ禍の課題を踏まえ、グローバルな情報・データの流通を支えるプラットフォーム、一定の領域において国民・市民の安全の確保を担う国家と都市、そして個人の間の関係と役割分担のあり方について考えてみたい。

池下研一郎(九州大学経済学研究院)

新型コロナは経済をどう変えるのか?―ショック,構造変化,およびグローバル化―

 新型コロナウィルスの急速な感染拡大は,労働や消費パターンの変化を通じて,経済活動に対して甚大な影響を及ぼしつつあり,各国政府はその対応に追われている。その一方で長期的に見れば,様々な分野でオンライン化や自動化が進むことで,経済活動の在り方自体が大きく変わる可能性もある。本報告ではコロナウィルス感染症が経済や社会に及ぼす影響について経済学的な視点を提示するとともに,コロナ以後のグローバリゼーションの行方についても考えてみたい。

▶ 司会:

井手誠之輔(九州大学人文科学研究院)

潮﨑智美(九州大学経済学研究院)

▶ オンラインによる開催(zoom)

本シンポジウムはオンラインにて開催いたします。参加申し込みはこちらからお願いいたします。

ご登録いただいたメールアドレスに、シンポジウム前日、開催場所のURLをお送りいたします。

※ 受付は終了いたしました。

お問い合わせ

九州大学人社系協働研究・教育コモンズ

E-mail: enquiry-commons★cmns.kyushu-u.ac.jp

(★を@に変更してください)

実施報告

第5弾企画「グローバリゼーションの行方とローカリティーの再生 ―ポスト・コロナ社会を語る―」を実施しました

Future Globalization and the Revitalization of Localities ~Discussing the Post-COVID-19 Society~

2020.09.17

 令和2年8月24日(月)人社系協働研究・教育コモンズの第5弾企画として、シンポジウム「グローバリゼーションの行方とローカリティの再生―ポスト・コロナ社会を語る」をオンラインにて開催いたしました。

ivents  井手誠之輔教授(人文科学研究院)、潮﨑智美准教授(経済学研究院)の司会の下、井手先生からの趣旨説明ののち、今里悟之准教授(人文科学研究院)、Edward Vickers教授(人間環境学研究院)、池下研一郎准教授(経済学研究院)、成原慧准教授(法学研究院)の4名の先生方にご登壇いただき、現在の新型コロナウイルスによってひき起こされているさまざまな問題について、世界遺産と地域社会文化財保護、教育の機会均等、グローバル経済、ネット社会と個人情報保護法などの観点からお話をいただきました。

 その後、司会者を交えたパネルディスカッションを行い、サイバー空間とリアル空間におけるローカリティとそれに付随するしたさまざまなアイデンティティのあり方について、会場からのご意見もとり入れながら議論を深めていきました。

ivents  シンポジウムには約60名の参加者が集まりました。オンラインによる開催ということもあり、学内はもとより、学外からの参加者も多く、盛況のうちにシンポジウムを終えることができました。

 お忙しいなかご報告を賜りました4名の先生方、ならびにご協力をいただいた関係者の皆さまに厚くお礼申し上げます。


 As our 5th project of the Collaborative Platform, we had a symposium, “Future Globalization and the Revitalization of Localities ~Discussing the Post COVID-19 Society~” on August 24th, 2020(Monday) online.

ivents  Firstly, we had Professor Ide Seinosuke (Faculty of Humanities) explain the purpose of this lecture. Following this, with Professor Ide and Associate Professor Tomomi Shiosaki (Faculty of Economics) as our hosts, we had 4 teachers, Associate Professor Satoshi Imazato (Faculty of Humanities), Professor Edward Vickers (Faculty of Human-Environment Studies), Associate Professor Kenichiro Ikeshita (Faculty of Economics), and Associate Professor Satoshi Narihara (Faculty of Law), give us a lecture about the various problems caused by COVID-19 from various perspectives. For example, we heard about protection of world heritage sites and local community cultures, providing equal educational opportunities, global economics, and Internet society and Personal Information Protection Law.

 Afterwards, we had a panel discussion with the hosts. We discussed localities of cyber and meet space and how the identity of these should be considered, taking in opinions from the audience.

We had approximately 60 people join this symposium. It was a great success, with many people in and out of Kyushu University joining this project.

 We thank the four teachers who gave the lecture despite their busy schedules, and appreciate everyone’s cooperation.