2022.12.05
2017.02 吉川弘文館
古来、国際的事件の舞台になった対馬。歴代当主の治世を辿り、朝鮮との外交・貿易の基本的な枠組みや、領国経営の実態に迫る。倭寇や秀吉の「唐入り」など、国際的事件の舞台になった対馬。一方で、朝鮮半島との交流は必要不可欠であった。この〈国境の島〉で、中世の日朝外交や貿易を公的に主導した宗氏とはいかなる存在だったのか。歴代当主の治世を辿り、朝鮮との間で5世紀にわたり継続した外交・貿易の基本的な枠組みや、〈国境〉ゆえに揺れ動いた領国経営の実態に迫る。
対馬(長崎県対馬市)の歴史は、最近こそモンゴル襲来(蒙古襲来)をテーマとしたマンガやゲームで脚光を浴びていますが、まだまだ一般にはよく知られていないでしょう。
本書の主題である宗氏は、武家の領主として、鎌倉時代から明治時代の初めまで、約650年間にわたって〈国境の島〉である対馬を治めつづけました。その宗氏が領主としての飛躍的な成長をとげたのは、室町・戦国時代(15~16世紀)のことです。
宗氏は対馬を領国として治めるにあたり、独自に朝鮮王朝との外交・貿易を展開しました。そこには虚々実々の駆け引きがありましたが、結果としては、平和な交流が実現しました。
その一方で、宗氏は中央政権(室町幕府)や北部九州の諸勢力の動向も注視していました。15世紀には、福岡平野一帯を実効支配し、国際貿易都市の博多を掌握するという一幕もありました。
こうした多面的な姿をみせる宗氏を通史的に描いたのが本書です。宗氏をとおして、対馬の歴史の奥行きを感じ取っていただければ幸いです。
(人文科学研究院 荒木和憲)
プロローグ “国境”対馬の宿命
第1章 中世対馬の国制上の位置
第2章 進展する領国形成と朝鮮通交
第3章 復調する領国経営と朝鮮通交
第4章 暗転する領国経営と朝鮮通交
エピローグ 対馬宗氏の四〇〇年
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● 研究者情報
九州大学 人文科学研究院 荒木 和憲(アラキ カズノリ)
E-mail: araki.kazunori.719☆m.kyushu-u.ac.jp
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