2022.11.16
2020.07 開拓社
カートグラフィーとは、統語構造を地図(cartography)のように詳細に描き出すプロジェクトである。本書は、カートグラフィーのプロジェクトが、どのように誕生し、どのような研究がどのような手法でなされるのか、さらには今後どのような発展の可能性を持つかについて解説している。言語事実としては、英語を中心としながらも日本語やほかの言語にも目を配りながら、カートグラフィーの得意とする詳細な言語事実に焦点が当てられている。
専門は統語論で、世界の言語には共通した文法(普遍文法)が存在しているという理念のもと、普遍文法の制約を明らかにすることを目標としています。本書は、統語論研究の中でもカートグラフィーと呼ばれる手法について紹介したものです。カートグラフィーとは、談話上重要な役割を果たすwh句や焦点要素、話題化要素などには、文の中で決まった位置があると仮定し、その位置や要素間の語順制限がどのような統語・意味制約により導かれるかを明らかにしようとするプロジェクトです。
統語論を専門とする研究者だけでなく、日英語の文法に興味がある方にとって少しでも参考になれば幸いです。
(人文科学研究院 前田雅子)
第1章 カートグラフィーの理念
第2章 英語のCPのカートグラフィー
第3章 日本語のCPのカートグラフィー
第4章 IPと副詞のカートグラフィー
第5章 主語のカートグラフィー
第6章 動詞句のカートグラフィー
第7章 形容詞のカートグラフィー
第8章 空間表現のカートグラフィー
第9章 カートグラフィーと極小主義プログラム
第10章 おわりに
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● 研究者情報
九州大学 人文科学研究院 前田 雅子(マエダ マサコ)
E-mail: maeda.masako.458☆m.kyushu-u.ac.jp
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